Web制作でインボイス制度に対応する方法とフリーランスの実務ポイント
最終更新日:2025/08/19

2023年10月にスタートしたインボイス制度は、フリーランスや個人事業主としてWeb制作に携わる人にとって避けて通れないテーマです。
インボイスに対応していないと、取引先から「適格請求書を発行できないなら取引できない」と判断されるケースも出てきています。
これまで免税事業者として活動してきた人にとっては、大きな転換点となるでしょう。
本記事では、Web制作者がインボイス制度にどう対応すべきか、その仕組みから実際の請求書対応、会計ソフトの活用、税務面での注意点まで徹底的に解説します。
フリーランスや小規模事業者の方が「制度にどう対応するべきか」を整理できるよう、具体的な手順を紹介していきます。
インボイス制度とは何か
インボイス制度とは、正式には「適格請求書等保存方式」と呼ばれる仕組みです。
従来は、仕入税額控除を行う際に請求書や領収書があればよかったのですが、制度開始後は「適格請求書(インボイス)」が必要になりました。
適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」に登録された課税事業者のみです。
免税事業者のままではインボイスを発行できず、取引先は仕入税額控除を受けられなくなります。
そのため、多くの法人や企業クライアントは「インボイスに対応している制作者と取引したい」と考えるようになるのです。
Web制作者が直面する影響
Web制作を行うフリーランスがインボイス制度によって直面する影響は少なくありません。まず、クライアント側は消費税を仕入控除するためにインボイスが必要となります。
免税事業者のまま活動を続けると、クライアントは控除ができず、その分のコストを負担することになります。
その結果、「インボイスを発行できない事業者には発注しない」といった判断が下される可能性が高いのです。
また、案件の単価交渉にも影響します。例えば、これまで税込10万円で受注していた案件が、インボイスに対応していないことで実質的にクライアント側に不利益が生じます。
取引継続のために単価を下げざるを得ないケースもあるでしょう。
逆に、インボイスに対応しているフリーランスであれば「税務処理がしやすい」「安心して継続発注できる」という理由で選ばれる可能性が高まります。
インボイス制度に対応するための準備
Web制作フリーランスがインボイス制度に対応するためには、まず「適格請求書発行事業者」に登録する必要があります。登録の流れは以下の通りです。
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国税庁の「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する
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税務署から審査を受ける
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登録番号が発行される
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登録事業者として、インボイスを発行できるようになる
申請はe-Taxでも紙でも可能です。申請期限は制度開始に合わせて定められていますが、随時申請は可能です。
なお、免税事業者のままで活動することも可能ですが、その場合はクライアントが仕入控除をできないリスクを理解しておく必要があります。
案件数や単価に影響が出る可能性があるため、多くのフリーランスは課税事業者として登録を検討しています。
請求書や見積書での対応方法
インボイス対応の最大の変化は、請求書や見積書のフォーマットです。以下の項目を記載する必要があります。
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適格請求書発行事業者の登録番号
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取引年月日
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取引内容(Web制作、デザイン、コーディングなど具体的に記載)
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税率ごとの消費税額
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請求金額の合計
従来の請求書と大きく違うのは「登録番号」と「税率ごとの消費税額」の明記です。これがないとインボイスとして認められません。
クラウド会計ソフトや請求書発行サービスを利用すれば、インボイス対応のフォーマットに自動で切り替えてくれるため安心です。
▶︎ freee 請求書作成ツールの詳細はこちら
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Web制作フリーランスが選ぶべき会計ソフト
Web制作フリーランスにとって、インボイス対応を効率化するにはクラウド会計ソフトが有効です。
例えば「freee」や「マネーフォワードクラウド」はインボイス対応の請求書発行機能を備えており、取引ごとに登録番号や税率を自動で反映できます。
また、確定申告や消費税申告まで一元化できるため、事務作業の負担を大幅に減らせます。
案件数が多いフリーランスや法人クライアントとの取引が多い制作者は、早めに会計ソフトを導入することで効率よく対応できます。
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税務上のメリット・デメリット
インボイスに対応するには課税事業者になる必要があり、その分消費税の納税義務が発生します。
免税事業者のままでは納税義務がありませんでしたが、登録すると消費税を納める必要があるため、手取りは減少する可能性があります。
一方で、課税事業者になることで「クライアントから選ばれやすくなる」「事業の信頼性が増す」というメリットもあります。
また、経費や控除の仕組みをうまく活用することで、納税額を抑えながら制度に対応できる可能性もあります。
「登録しない」という選択肢は、短期的には手取りを維持できますが、長期的には取引先減少や単価ダウンにつながるリスクがあるため、慎重に検討する必要があります。
フリーランスWeb制作者の現場対応例
実際の現場では、対応の仕方も人それぞれです。
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Aさん(フリーランス歴5年):法人クライアントが多く、インボイス未対応では取引が難しいため早期に登録。クラウド会計ソフトを導入し、スムーズに請求業務を進めている。
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Bさん(副業フリーランス):少額案件や個人クライアントが中心のため、当面は免税事業者として活動を継続。ただし将来的な登録を視野に入れている。
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Cさん(小規模チーム運営):複数人で受注しているため法人化を検討。法人としてインボイス登録することで、チーム全体の安定した受注を確保している。
今後の働き方とインボイス制度
インボイス制度は単なる事務作業の変更にとどまらず、フリーランスの働き方やキャリア戦略に大きく影響します。
法人クライアントとの取引を増やしていきたい人は、早めの登録と会計ソフトの導入が必須です。
また、副業フリーランスや個人相手の案件中心の人も、今後の働き方の方向性に応じて登録を検討する必要があります。
「インボイスに対応しているかどうか」が仕事の受注を左右する時代になる以上、制度を正しく理解し、準備を整えることが重要です。
まとめ
Web制作に携わるフリーランスにとって、インボイス制度は避けられない課題です。適格請求書発行事業者への登録を行い、請求書のフォーマットを整え、会計ソフトを活用することで効率的に対応できます。
制度に対応していることで、クライアントからの信頼を得やすくなり、長期的な受注や単価維持にもつながります。逆に未対応のままでは、案件減少や単価下落のリスクを抱えることになるでしょう。
今後も安定して仕事を続けていくために、早めの対応を進めていくことを強くおすすめします。